ソクラテスの弁明

 久々の新婚旅行以外のネタです。
 読んだ本の感想を書こうと思います。
 読んだ本は「ソクラテスの弁明」という、哲学の古典です。
 
 ブログに来てくれる人を置いてけぼりにする、
 それが群衆クオリティ。
 

どんな本?

 賢人ソクラテスが「人心を惑わせ、国が定める以外の神を信じた罪」により
 起訴された際の、裁判の様子を弟子のプラトンがまとめたものです。
 

あらすじ

 ソクラテスは巫女から
 「この世で一番頭が良いのはソクラテス
 という神託をもらい、
 「えー?ウッソー、もっと頭いい人たくさんいるっしょー?」
 と思います。
 が、神様を信じているので、
 「いやいや、神様がウソを言うわけがない」
 「よし、俺が頭が良い人たちと話をして、俺と何が違うか確かめよう!」
 と決心します。
 
 ソクラテスは色々な人たちのもとを訪ね、話を聞きます。
 そしてソクラテスは思うのです。
 「こいつら、ぜんぶ分かった気になってるけど、本質や真義を分かっていない」
 「賢人などと呼ばれるが、私には分からない事ばかりだ」
 「私は『私には知らない事がある』という事を知ってる!」
 これがかの有名な「無知の知」です。
 
 「だから神様は俺が一番頭が良いって言ったのだな!」
 
 それからというもの、
 政治家を訪ねては「いかにお前が理解不足か」を説き伏せ、
 詩人を訪ねては「技巧はすばらしいが、本質を分かっちゃいない」と説き伏せ、
 本人はおろか、その時、周りにいた人間にも
 「全部分かった気になるな」
 と教えたのです。
 
 そして、弟子達はソクラテスの真似をして
 周囲の人たち(たぶん親とか友達とか)に
 「全部分かった気になるな」
 と吹いてまわったのでした。
 
 んで、それを見て「ソクラテスとその弟子ウゼェ・・」と思った連中が
 「人心を惑わせ、国が定める以外の神を信じた」
 とソクラテスを拘束するのでした。
 
 ソクラテスは数時間の弁明タイムを与えられ、
 「私は人心を惑わせてなどいない」
 「めっちゃ神様を信じてる」
 と訴えますが、
 結局、投票みたいので死刑判決が出ます。
 
 法治国家なのだから、判決には従おう」
 「けど、私を死刑にすることは、すごい損害だ」
 「周りの国からバカにされる事になるだろうけど、がんばってねー」
 と、潔く死刑になるのでした。
 

感想

 政治家みたいな権力者相手に
 人のいる前で
 「おまえ、自分が賢いと思ったら大間違いだぞ」
 って言い放ってしまってはイカンと思うんだ。
 時代も時代だし。
 ソクラテスが「すごいと思ってる人たち」ということは、
 それなりに名も売れてる人たちでしょ?
 言われた本人達にもプライドや世間体があるでしょ、絶対。
 どんだけ空気読めないんだ。
 そりゃ捕まるわ。
 
 他人に対する想像力って大切ですよね。
 同じゴミ拾いボランティアでも、
 ただゴミを拾うのと、
 特にゴミが捨てられている地域の住人に
 「おまえらんとこが一番汚いぞ、ゴミをどうにかしろ」
 と言いながら拾うのとでは、
 かなり印象が違うと思うのです。
 
 後者なら、
 勝手にゴミ拾いやってるんだから、
 「その価値観をこっちに押しつけてくれるな」と
 反発もあるだろうし。
 不法侵入だ!とかなんだとか、
 私物を勝手に持って行かれただの
 難癖つけて裁判ですよ。
 まさにソクラテス状態。
 
 かといって、当たり障りのないやり取りで
 本当の信頼関係が作れるのかと考えたりもしますよね。
 ケンカしてマブダチになる的な。
 ソクラテスはこっち派か。
 
 実際、裁判ではソクラテスは半数近い賛同を得ていますし、
 ホントにもう少し時間があれば、
 現代のように二審、三審とあれば、
 死刑判決は出なかったかもしれないわけで。
 
 つっても、この時、ソクラテスは70超えてるわけで、
 マジでほっといても死ぬんだからほっとけよと思いましたね・・。